私たちの生命維持に大切な働きをしてくれている視床下部。先日投稿したアロマセラピーの秘密にて、ホメオスタシスを支えるのは、免疫、内分泌、自律神経の3つ、そしてそれらを統括している大切な器官ということを紹介しました。
その視床下部、脳のどこにあるでしょうか。今回は、視床下部が脳のどの位置に存在するかについてみながら、アロマセラピーが脳へ与える影響についてのお話しです。
(※マニアックですが、アロマセラピストを目指す方はテスト範囲のお話)
脳は、脳幹、小脳、間脳、大脳の4つで構成されています。脳幹とは背骨(脊髄)に続く部位で下(脊髄に近い方)から延髄、橋、中脳で構成されています。
そして、脳幹の後方(後頭部側)に小脳があり、脳幹の上に、視床と視床下部からなる間脳があり、この脳幹と間脳にかぶさるように大脳が位置しています。
ここまでついてこられましたか?(アロマセラピストの座学範囲なので、受験される方はしっかり覚えてて下さいね!)
次は大脳にフォーカスします。(右の図は頭を前後に分割したもの)大脳の内側(右図では白い部分)には、神経繊維からなる部分があり、ここを大脳髄質といいます。さらにその下に大脳基底核があります。
大脳髄質は脳内部と末梢との連絡経路として情報伝達する役割を担っています。また大脳基底核は、尾状核、被殻、淡蒼球などから構成されています。(大脳自体は外側から硬膜、くも膜、軟膜の3つの脳髄膜で保護されている。)
そして大脳の表面は、神経細胞(ニューロン)が集まって作られていて、特にその部分を大脳皮質といいます。厚さは1.6〜4.5㎜ほど。
そしてこの大脳皮質を系統発生学的に分けると①大脳新皮質②大脳辺縁系に分けられます。
①大脳新皮質
大脳皮質のうち、新しい皮質です。主に知能活動を司り人間らしい理性や意志を司る部分。人間や霊長類が特に発達している部位です。人では大脳皮質のうち大部分がこの大脳新皮質です。
②大脳辺縁系
大脳皮質のうち系統発生学的に古く、大脳の深部にあたります。ここには扁桃体や海馬が含まれており、本能行動や情動の調整をしてます。記憶の中枢でもあり、嗅覚との関係も深いことが知られています。
先程の脳の構成に戻りますが、視床下部が含まれる間脳は、脳の深部大脳辺縁系付近にあります。
視床は感覚情報を大脳皮質へ伝達する働きをしており、その下に位置するのが視床下部。こちらは下垂体と密接な関係があり、新陳代謝、体温、水分調節、消化、呼吸、性機能、ホルモン分泌などを総合的に調整する役目を果たしています。
次は見る範囲を少し広げてみます。
視床下部の近くには、匂いを感知する嗅球と嗅索が存在します。
鼻から入った芳香物質は、鼻の奥(嗅上皮)にある嗅毛でキャッチされ、嗅神経で電気信号に変換し大脳辺縁系に送られます。
視床下部はこの伝達が行われる部位の近くにあることから、匂いの影響を受けるということがわかってきました。このことがアロマセラピーが視床下部にとって良い影響を与えるツール→ホメオスタシスにも良い影響がある、といわれる基礎になっています。
実際に日本の大脳生理学者(東邦大学名誉教授)の鳥居鎮夫氏の脳波を利用した実験(随伴性陰性変動(CNV)と呼ばれる特殊な脳波を使ったもの)により、世界で初めて香りによって脳がリラックス状態になっていることを証明しました。
良い香りを感じるだけで、脳をリラックス状態にする、アロマセラピー。手軽で誰でも始められます。
アロマセラピーは香りを感じる芳香浴以外に、肌にオイルを塗り広げるトリートメントがあります。特にトリートメントは《香り》×《タッチング》の相乗効果で脳と心を素早くリラックスさせます。このことはまた別の投稿でご紹介します。
今回は視床下部が脳のどの位置にあるかをみながら、アロマと脳の関係を説明しました。仕組まれたものなのか、偶然のことなのか…、私たちの体は想像以上に上手くできています。それでも香りの分野はまだまだ謎が多く、最近の研究で徐々に有用性が明らかになってきています。役立つ論文やデータを今後も積極的にシェアして、アロマセラピーの意義を高めていきます。面白い!と感じたらいいねとシェアでお知らせ下さい!
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