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メディカルハーブやアロマセラピーの共通点

第二次世界戦後77年が経ち、私たち日本は物質的にとても豊かになりました。欲しいと思えば形あるもの無形のものに限らず大抵のものが手に入ります。一方精神的な繋がりが希薄となり満たされない気持ちを感じやすくなったり、便利になりすぎるあまり時間に対して求められる成果が増えていき、メンタルの不調を抱える方が年々増加しています。


メンタルケアの難しさは、引き起こす原因が細菌やウイルスではないところ。もちろん最新型のウイルスはワクチンや特効薬がないという面では厄介なのは変わりませんが、メンタルケアは原因をお薬でやっつけたり抑えたりという治し方ではないという意味で難しいのです。


そんな中、注目されるのはメディカルハーブといわれる「薬草」や「香草」と言われる植物たち。メディカルと聞くとお薬的な役割を連想しますが、薬と同等という意味ではありません。私たちが薬として認識しているものができる前の時代、人々は植物からその役割をもらっていました。日々の料理にハーブを使ったり、お風呂に入れたり、さまざまな利用法がヨーロッパに限らず世界各地でみられます。日本では日本の文化に合わせた形で広く知られています。例えば、冬至の柚子湯、冬至の七草なども日本版のメディカルハーブ術と言えるでしょう。このように日々の生活とその時々の旬と言われる植物からエネルギーをいただき、健康に寿命を全うしようという考え方も含めたものをメディカルハーブと認識しています。


言葉の響きは新しいもののように感じますが、考え方は古くから伝わる食養生に通じるといえます。そして私たちの身体や心は、何事においてもバランスが大切であり、このハーブを摂れば何に効くということではなく、日々の暮らしの中で自分自身の身体や心の調子に耳を傾け、身になるもの、身体に取り入れるものに対してこだわりを持ちましょうということです。


これまでたくさんの養生方法がその時々の時代に合わせて形を変えながら伝えられてきています。おおよそほどんどの分野で共通して言われていることは、バランスを保つということ。これは儒教の中の教えの中心的な概念の一つでもあり、論語の中でも登場します。そしてこのバランスは、個人によっても若干異なり、自分の身体と心のちょうど良いバランスは自分でしかわからないのです。さらにいうと、そのバランスは長い人生の一日一日で微妙に変化しています。同じことをルーティーンのように繰り返している中で、マイナートラブルにもきちんと対応しながら日々を送る、地に足をつけた、自然に根差した暮らし方そのもののバランスも含まれていると考えています。


またアロマセラピーでのバランスを保つという概念は、ホメオスタシスという言葉で広く知られています。メディカルハーブやその他の養生方法と同じく、どの精油を使えば悩みが解決するということではなく、その時々の自分が香りを感じた瞬間の直感を信じ、そこから自分の心理状態を紐解いていく。一般で知られるような、例えば、眠りにくい時にはラベンダーが良い。というような手法とは逆説的な方法で、その時の自分の身体と心の状態を客観的に把握していく、いわばツールとして、自分のバロメーターとして、精油を使えるようになることが本来のアロマセラピーといえます。


このように、メディカルハーブやアロマセラピー、食養生などさまざまなアプローチが存在する中で、どの分野をとっても本質的なキーといえる考え方は、バランスを保つこと。何か一つに傾倒するということはバランスを崩すという危険もはらんでいると言えるでしょう。役に立つ知識や知恵も闇雲に使うのではなく、自分のバランスを感じながら上手に、無理なく取り入れてみる。それが難しいところでもあるのですが、本来のセラピーの姿だと考えています。


その想いをベースに、私の提供しているアロマセラピーでは、お客様に精油を選んでいただく際には、作用のことはあまりお伝えしていません。何より自分の身体の状態を知っているのはその方自身の直感だと知っているからです。直感=自分の本能だと考えています。普段から思考で選択することが多い今、私たちが生き物として本来持っている直感=本能を精油で満たしたり、経験値として学んで体調管理に活用できるような、そんな暮らしをベースにした精油の活用方法をご提案しています。


私の精油観は、自分の外に答えを探すのではなく、自分の内を整える。内観することで自分の答えを見つける。そんな時間を感じてもらえるよう心掛けています。

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